ファイナンシャルプランナー(FP)の私が、62歳で「年金の繰上受給」と「個人事業主」になることを選択。
第二のライフプランで「ゆとりある老後生活」の実現に向けスタート。
2018年に60歳で定年退職を迎え、その後2年間は再雇用で、企業で働き、62歳と2か月で退職しました。定年退職を機に、第二のライフプランを見直しました。
そして、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵を受けるため、「年金の繰上受給」を選択しました。さらに、資格を活用し、興味のある分野で、年齢に関係なく、好きなだけ、働ける「個人事業主」になることを選択しました。
関連記事:👀(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の恩恵 とは、節税と保険料の軽減等の優遇措置が受けられことで、年金の手取り額に大差が生じるため、老後のマネープランに影響が出ます。詳細内容は、この関連記事に紹介しています。
Ⅰ. 私の望んでいる、第二のライフプランは、
• 62歳で退職し、資格を活用した個人事業を開始する。
• 70歳までは個人事業で収入を得ながら、孫らとの旅行を楽しむ。
• 85歳までは健康で、趣味と仕事を兼ねた生活を楽しむ。
• 85歳からは、趣味を中心とした生活を楽しむ。
• 90歳からは、介護サービスを受けることを想定。
Ⅱ.実際の老後の生活費とは、
👀生命保険文化センター「生活保障に関する調査」 の令和元年度情報の88ページ目に記載
① 最低日常生活費 22.1万円 ゆとりある老後生活費 36.1万円
👀総務省の家計調査年報(家計収支編) の2019年(令和元年)情報から
② 実際の老後生活費 24.3万円
③ 最近話題になった、金融庁の報告の「2000万円」問題とは
総務省などが実施した調査によると、夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯における平均的な実収入は月額約21万円ですが、消費支出は26万4,000円ほどになるとみられています。
毎月約5万円の赤字が出ることになります。30年間で、5万円×12カ月×30年=1,800万円の赤字が出る計算です。この赤字分は貯蓄から補填する必要があるだろう、というのが報告書に書かれた内容でした。
以上のような報告がありますが、実際の老後生活費は、個人の生活状況で大きく違うので、今の生活状況から試算する必要があります。また、老後生活の送り方も、60歳定年後、すぐに年金を「繰上げて受給」し年金生活を始めたい人、元気な間は今の仕事を続けたい人、70歳まで働き、そのあとは遊んで暮らしたい人、など様々です。
まずは、定年退職後のライフプランを立て、必要な老後の生活費を試算することが重要です。
Ⅲ. 年金の繰上受給で「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵を選択した理由は、
1. まず、最低限の生活が保障できる年金額を想定しました。
例えば、本人:210万円 配偶者:80万円 の世帯の場合、年間およそ290万円=24万円/月となり、上述した調査結果から、24万円/月あれば、贅沢はできないかもしれないが、最低日常生活は支障なく過ごすことができる金額と考えられます。
2. 年金受給額を「ねんきんネット」でシュミレーション
「ねんきんネット」で簡単にシミュレーションできます。
👀【定年退職の年金額】「ねんきんネット」で事前にシミュレートし、マネープランを立てましょ!の記事で確認方法を紹介しています。併せて読んで下さい。
私の場合、
65歳から年金を受け取る場合、年金支給額は227万円でした。211万円を超えてしまっていました。
62歳5か月から、年金の繰上受給を開始すると、年金支給額は210万円になることを確認し、65歳から年金受給を開始する場合と比較を行いました。
65歳で年金を受け取る場合、227万円になるので、年金支給額は年17万円少なくなりますが、2年7カ月、早くから年金を受け取れるメリットを計算すると、年金の受給総額は79歳までは、逆転しない計算になります。
👀(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の恩恵で税金、健康保険料、介護保険料が軽減され、年金の手取り額では一生涯、逆転しない計算になります。
計算方法等メリットに関しては、👀(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の恩恵の記事で詳細に紹介しています。
3. 年金は手取り額で比較
年金の受給総額で比較すると、人生100年時代で80歳以上長生きすれば、年金の繰上げ申請を行うことは得策でないように思えますが、重要なのは、受給総額ではなく手取り総額で比較する必要があります。
65歳以降に、住民税非課税世帯になり、収入が年金のみになった場合、健康保険料と介護保険料と住民税が 大幅に減額され、手取り額が増える恩恵があります。
手取り額の総額は、健康保険料と介護保険料と住民税が軽減される金額等を計算すると、90歳以降になっても逆転することはないと想定できました。
4. 人生100年時代を生きるため
さらに、高年齢になれば、医療費や介護費用が増加する可能性が高く、家族への負担も高くなります。介護が必要になることを想定すれば、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵の優遇措置の適用があれば、社会保障制度の恩恵(高額療養費、高額介護サービス費の負担限度額の軽減、や高額医療、高額介護合算療養費制度等)が受けられ、金銭面でゆとりができ、安心した生涯をおくれます。
5. 注意点は、
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵の優遇措置条件は、現行の制度で試算しているため、制度が見直された場合は適用外になるリスクがあることは理解しておいてください。
以上の考えから、年金210万円になるように「年金の繰上受給」を選択しました。
Ⅳ. 個人事業主になることを選択した理由
1. これまでに得た資格を活かしたい
退職前から、資産運用には、興味があり、株式、投資信託、FX、外貨建て保険なども、50歳前くらいから色々なこと挑戦してきました。
ゆとりある老後生活をおくるための資産を貯めるためには、資産運用に関する知識は、不可欠であると感じ、定年を迎えるのを機に、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格の勉強を始め挑戦しました。興味があったこともあり、独学で3級と2級と連続で合格することができました。
その後も実際にその知識を活用して、銀行、証券会社、保険会社の運用担当者と相談しながら資産運用を行い実績を積んでいます。
個人事業で、大儲けしたいわけでなく、65歳、70歳以降も元気な間は、趣味を楽しみながら、多少でも収入を得る方法を持っておくことは、精神面での余裕にもなり、ゆとりある老後生活をおくれます。
興味のある分野で資格を取得し、個人事業を始めることは、人とのつながり、社会とのつながりを持つうえで役に立ち、老後の生活の楽しみにもなります。またボケ、認知対策にもなるかも😏
資格を活かして、収入を得る方法を手に入れることができれば、確定申告し節税対策できるのは、個人事業主になるのが最善な選択肢だと思います。
2. 個人事業は、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵も受けられる。
老後の追加収入源は、預金以外に個人事業からの収入を想定しました。個人事業であれば65歳or70歳以降も、好きな仕事で働き続けることができます。
個人事業で得られた収入は、事業所得となり、必要経費と青色申告特別控除(55万円or65万円)等を差し引くことができます。
個人事業の収入が多ければ、事業所得額に応じて、税金、社会保険料を払うのは当然で義務ですが、必要経費と青色申告特別控除等を差し引いて事業所得額がなければ、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の恩恵は受けることができます。
3. 個人事業主の事業所得は、在職老齢年金制度の影響がありません。
再雇用で企業で仕事を続ける場合、在職老齢年金として支給されますが、収入額により、年金額の一部または全部が支給停止になります。
また、厚生年金適用事業所で働く人は、老齢厚生年金受給額は65歳、70歳、(2022年から75歳)で再計算され老齢年金が増加し、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の恩恵が受けられなくなる可能性が出てきます。年金額が211万円を少し超えるだけでは損をしてしまう可能性があるので注意してください。
Ⅴ.個人事業を始めるまでのスケジュール
• 1.≪退職日と年金受給開始月を確認≫
• 2.≪雇用保険の失業受給金の申請≫
• 3.≪失業給付金を停止申請≫
• 4.≪年金の繰上受給の申請≫
• 5.≪個人事業の申請≫
• 6.≪雇用保険の再就職手当の申請≫
• 7.≪翌年から確定申告をする≫
1.≪退職日と年金受給開始月を確認≫
ねんきんネットを活用し、年金額をシミュレーションし、「211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵を受けられる条件を満たすため、厚生年金はいつまで加入し、いつから年金を受け取ればよいか、その期日を確認しました。
シミュレーションの結果から、退職日は、再雇用契約期間の満了日となる62歳2か月、年金繰上申請は、62歳と5か月と決めました。
「211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵は、老後のライフプランで重要な選択肢になります。その恩恵に関しては、是非以下の関連記事も参考に読んで下さい。
関連記事:👀(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の恩恵
2.≪雇用保険の失業受給金の申請≫
雇用保険の基本手当(失業給付)の支給を受けるための申請を行いました。
特別なコロナ禍の現状の中、「高齢によりコロナ感染重症を避けるため」が退職理由の場合は、「正当な理由のある、自己都合退職」で、特定受給資格者となり、失業給付の所定給付日数が150日から240日に増えました。
再雇用契約満了による退職であったため、基本手当の給付の開始は1週間の待期期間のみで、3ヵ月の給付制限はありませんでした。
参考に以下の退職に関する体験談記事も読んで下さい。
関連記事リンク:👀コロナ禍の定年退職で損しないために(体験談)、100万円も得する可能性があります。
注意しないといけないのは、個人事業を開始することが決まっているひとは、雇用保険が適用されませんので注意してください。
3.≪失業給付金を停止申請≫
62歳で退職し、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給している間は、老齢厚生年金は支給されなくなるため、基本手当(失業給付)を62歳5か月で停止しました。停止することで62歳6か月分から老齢厚生年金を受給することができます。
年金の繰上受給の申請を行う62歳5か月に当たる月までは、基本手当(失業給付)を受けました。基本手当(失業給付)の残りの所定給付日数が3分の1以上あれば、再就職手当を受給できる資格が残っています。個人事業開始後に再就職手当の申請を行うことができます。
関連記事リンク:👀失業保険と年金の受給方法をハローワークと年金事務所に聞きました。(体験談)
4.≪年金の繰上受給の申請≫
国民年金事務所で 62歳と5か月で年金繰上申請を行い、62歳の6か月目から年金受給を開始する手続きを行いました。
5.≪個人事業の申請≫
非常に簡単です。
個人事業主として独立する場合には開業手続きが必要であり、おもな提出書類は次の通りです。
(1)開業届
税務署と各都道府県に対して開業届を提出します。
(2)青色申告承認申請書
節税対策の幅を広げるためにも、税務署に対して青色申告承認申請書を提出しましょう。提出期限は開業日から2ヵ月以内です。ただし、1月15日以前に開業する場合の提出期限は3月15日です。
年金の申請後は、個人事業で、企業と業務委託契約、業務請負契約で収入を得ても、在職老齢年金制度による、年金の一部・全部停止されることはありません。
6.≪雇用保険の再就職手当の申請≫
雇用保険の基本手当(失業給付)を停止しましたが、個人事業を開始することで、再就職手当を受給できます。支給額は、所定給付日数の残日数により、残日数分の基本手当金額の70%(残日数が2/3以上の場合)or60%(残日数が1/3以上の場合)が支給されます。
詳細は下記の関連記事を読んで下さい。
関連記事リンク:👀失業保険と年金の受給方法をハローワークと年金事務所に聞きました。(体験談)
7.≪翌年から確定申告をする≫
会社員の場合、年末調整により所得税など税額計算は勤務先が代行し、税務署に申告する手続きも必要ありませんでした。
しかし、個人事業主の場合、所得税の税額計算をし、確定申告書を税務署に提出しなければなりません。注意:個人事業を開業した翌年から確定申告は必ず必要です。忘れずに申告してください。
個人事業上で必要な経費は、いろいろ費用が売り上げから引くことができますので領収書をもらう癖をつけておいてください。
個人事業の確定申告方法に関する記事は、別途、詳細を紹介したいと思います。
関連記事リンク:👀年金受給している個人事業主が、
Ⅵ. まとめ
第二の人生のマネープランを考えたとき、以下の内容で、「年金の繰上げ受給」と「個人事業主」を選択しました。
- 年金の繰上げ受給を選択し、本人の年金210万円と配偶者の年金80万円の290万円、月24万円あれば、老後の日常生活を支障なく暮らせる金額であること。
- 年金額が62歳半からの210万円と65歳からの227万円を比較すると、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の恩恵を受けられるほうが、大幅に有利であると想定できたこと。
- 個人事業主になることで、年齢に関係なく収入が得られるチャンスができ、節税対策につながること。
(最後まで読んでいただきありがとうございます。)
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