起業して個人事業主になることは簡単です。定年退職後のライフプランに、個人事業主になることを選択肢に入れてみてはいかがですか!
1. 始めに
高年齢者雇用安定法の改正が令和3年4月1日から施行されました。高年齢者雇用安定法の改正で65歳から70歳までの就業機会が増えます。多くの人は、収入が大幅に下がっても、70歳まで、同じ職場で働き続けることを選択すると思います。
でも、よく考えてください、今の仕事に生きがいを感じて働き続けている人はどのくらいいるでしょうか、人生100年時代で70歳以降の30年間の生活を想像してみてください。70歳を過ぎてから、新しいことに挑戦し生きがいを感じる仕事を見つけるのは難しいと思いませんか、人生100年時代を考えたら、定年退職後、新しいことに挑戦する気力が残っている、早い時期に起業し個人事業主になるライフプランを考えてみてください。魅力あるライフプランが描けるかもしれません。
現役時代に頑張り、定年退職後の老後生活の収入に心配がないのであれば、思い切って起業し個人事業主になってみませんか。高年齢者雇用安定法の改正で、70歳までは少ない給料でも収入があることはうれしいですが、70歳以降に何をするのか悩んでしまわないですか?
それであれば、定年退職を機に、年齢に関係なく、時間にも拘束されない、趣味や資格や経験を活かして、生きがいの感じられる個人事業主になることを考えてみるのは、いかがですか!
最高だと思いませんか、実現は夢ではありません。
個人事業主には様々な職種があり、職種によっては、起業するための資金がゼロでも個人事業主になれます。一人で始めれば、運転資金も、ほとんど必要がなく事業を始めることもできます。個人事業主になる手続きも、めちゃ簡単です。
定年退職後に、個人事業主になることで、老後の生活費の節税や節約ができる方法もあり、実際に
ファイナンシャルプランナーの私が個人事業主になった時の体験談も含めて紹介します。
2. 夫婦や家族と話し合える時間を持ってください。
定年退職後のライフプランについて、一度よく考えてみる時間取ってください。以下のことを整理することで、いろいろなライフプランの選択肢が見つかると思います。
• 現状の預貯金額:
老後の生活費にいくらかかるか、起業するための資金はあるか、まず確認。
• 65歳からの年金額:
生涯受け取る安定した収入額を確認し、老後のマネープランを立てる。
• 70歳以降の生きがいは:
70歳以降の生きがいを感じられる理想のライフプランを想像する。
• 定年退職後の再雇用等での収入額:
老後に必要な年金額、起業のための資金のためにいつまで働くべきか。
3. 老後の日常生活を過ごすための、老後資金を確保
老後の最低必要な日常生活費はどの程度必要か? 一概に老後の日常生活費といっても、住んでいる地域、一軒家orマンション、持ち家or賃貸、など、実際は個人の実情で大きく異なると思います。ゆとりある老後を過ごすために必要な金額も、個人によって異なります。
政府の生命保険文化センター、総務省の老後の生活費の情報で、65歳以上の夫婦二人の生活の場合、月に必要となる生活費は、平均22万円~24万円、年間およそ260万円~290万円と言われています。
参考:(老後の日常生活費の情報について)
リンク先:👀生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」
の情報から最低日常生活費 22.1万円 ゆとりある老後生活費 36.1万円
リンク先:👀総務省の家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)
の情報から実際の老後生活費 24.3万円
この金額は参考として、実際にかかる生活費を、これまでの実績から将来に向けて必要となる金額を試算してみてください。まずは、試算した老後のための最低限必要な日常生活費を確保する方法を第一に考えて、マネープランを立て、いつから起業し個人事業主になれるかのライフプランを立ててください。
老後の資金に心配がなくなれば、自分の好きな分野で個人事業を余裕をもって、生きがいを感じながら始めることができます。
例えば、夫の年金190万円以上、妻の年金70万円以上あれば、年金で最低必要な日常生活費を補えることになります。もし年金だけでは不足する場合は、これまで頑張った預貯金で補えることができれば、老後の資金の心配がなくなります。
定年退職後の
・個人事業で得られる収入、
・資産運用で得られる収入、
・老後の資金以外の残った預貯金
以上の収入は、ゆとりある老後生活のための資金となります
老後の資金が不足している人(年金を増やす方法)
試算した老後の資金が不足しており、定年退職後も、年金支給額を増やしたい人は、高年齢者雇用安定法の改正で70歳まで働ける制度が整ってきていますので、再雇用等で引き続き企業で働き、年金受給額を増やすことができます。
70歳まで安定した収入が得られることから、定年後の有力な選択肢になります。人生100年時代のライフプランで、老後の必要な資金が貯めることができれば、起業し個人事業主になる選択肢を追加してみてください。
老後の重要な年金受給額を増やす方法は主に2つあります。一つは、厚生年金は原則70歳まで加入でき、年金額を増やすことができます。二つ目は、年金受給する年齢を遅らせる方法で、繰下げ受給することで年金額を増やすことができます。
年金を繰下げ受給すると、1ケ月0.7%の割合で増やすことができ、70歳までの5年で、42%増になります。さらに2022年4月からはさらに75歳まで5年延ばすことができ、84%も増やすことができます。
老後のライフプランで、いつまで働いて、いつから年金をもらうのが、有利なのか慎重に考えてください。老後の必要な資金が確保できる見通しが立てば、起業し個人事業主になるライフプランを具体化させていきましょう。
年金額の試算は、日本年金機構のHP👀「ねんきんネット」で簡単に試算できますので、早い時期に確認してください。確認方法に関する下記の関連記事も合わせて読んで、年金額を試算してみて下さい。
関連記事リンク:
👀定年退職を迎えて、年金は、「ねんきんネット」で事前にシミュレートし、マネープランを立てましょ
定年退職後に、個人事業主になる場合、生涯安定収入となる年金の、受給開始時期を決めるのは、最も重要です。下記の関連記事は必ず読んで、年金の受給開始時期を決めてください。
関連記事:👀(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の恩恵
老後の資金の確保ができている人
老後のマネープランで、最低限必要と思われる老後の資金が、一生涯支給される年金と預貯金額で確保できている人は、定年退職後のライフプランに、個人事業主になる選択肢を加えてみてください。
老後の資金の確保ができれば、起業し個人事業主になる理由は、収入より生きがいと、考えて個人事業が開始できます。ゆとりができますね!
定年退職後に、年金開始前に起業し個人事業主になることを望まれる人は、収入が不安定になる可能性がありますので、年金開始までの生活費の確保も考える必要があります。さらに、個人事業の分野、職種により、開業資金が必要になりますので、マネープランなどで事前準備することも忘れないでください。
60歳以降であれば、年金を早くもらう年金の繰上制度を活用し、年金受給を開始してから起業するマネープランも検討できます。年金があれば、生活費の心配も少なくなります。
私は、繰上制度を活用し62歳から年金受給を開始し、起業し個人事業主になりました。これで、人に雇われるのではなく、好きな分野で、好きな期間、無理なく、生きがいをもって働くことができ、魅力ある老後生活を実現できます。
4. 個人事業を始めるために必要な事は
起業して個人事業主になるための条件は特にありません。経験や興味のある分野で収入を得たい気持ちがあれば、起業し個人事業主になれます。
しかし、その分野の経験、実績、資格はあった方が、社会的に認められ、信頼される個人事業を始めることができます。
さらに、前述した老後の日常生活費の資金は、最低限確保しておくべき資金です。この老後の資金以外に起業のための自己資金の確保は必要です。分野によってはほとんど資金必要しない個人事業もたくさんあります。
(資格について)
経験や興味のある分野の仕事する場合、信頼を得るためにもその分野の資格を取得することを勧めます。様々な資格がありますので、経験や興味のある分野でどのような資格があるのか調べて是非挑戦してください。
定年退職前後に、目標を持ち、資格取得に挑戦することは、第二の人生で、モチベーションを上げる方法として大切だと思います。
有名な資格をもって起業している個人事業主に多い資格は、一般的に言われる士業(しぎょう)「-士」の名称で呼ばれている、専門資格職業の俗称であり(さむらいぎょう)ともよばれています。有名なのは、弁護士、司法書士、行政書士、などです。このような本格的な資格がなくても、それ以外にもたくさんの資格がありますので、興味のある資格に挑戦し、起業し個人事業主になるモチベーションを上げてください。
私は、定年を迎え興味があった分野のファイナンシャル・プランニング技能士と、働いているときにスキルアップのために必要であった、技術士(総合技術監理部門・上下水道部門)の資格を取得しています。
この2種類資格は分野が全く違いますが、いろいろな分野で、コンサルティングができると考えています。この資格を活用し、個人、企業を問わず、幅広い分野を対象に、コンサルタント業務で個人事業を始めることにしました。
また、個人事業の確定申告で、青色申告特別控除を受けるために必要な複式簿記の知識を得るために、起業し個人事業主になる前に簿記検定の資格も取得しました。
(個人事業主になるためのマネープラン)
起業するための資金は、個人事業内容に応じて、開業費として事前に準備しておく必要があります。
例えば、資格や経験を活かしたコンサルタント業の分野では、オフィスも構えず従業員も雇わず個人で事業を行われているので、起業資金はほぼ0円です。
パソコン一台あれば起業できる時代なので、定年退職後の起業の場合、資金をかけずに個人事業主になることも選択できます。
それ以外に定年退職後の起業で個人事業主になる場合、個人事業の収入が不安定で、年金受給年齢(*1)までは、安定した収入がなくなる可能性があります。この間の生活費の確保も忘れずに準備しておく必要があります。
年金受給が開始される時期に合わせて起業することも選択肢に入れて、最適なマネープランを立ててください。
(*1)男性は昭和36年4月2日以降生まれの人、女性は昭和41年4月2日以降生まれの人 から年金の受給年齢が65歳になります。この年齢以前の方は 特別支給の老齢厚生年金の受給があります。
5. (FP)の私が、定年退職後に個人事業主になるまでのスケジュールを紹介します。是非参考にしてください。
(個人事業を始めるまでのスケジュール)
• 1.≪退職日と年金受給開始月を確認≫
• 2.≪雇用保険の失業受給金の申請≫
• 3.≪失業給付金を停止申請≫
• 4.≪年金の繰上受給の申請≫
• 5.≪個人事業の申請≫
• 6.≪雇用保険の再就職手当の申請≫
• 7.≪翌年から確定申告をする≫
1.≪退職日と年金受給開始月を確認≫
ねんきんネットを活用し、年金額をシミュレーションし、「211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵を受けられる条件を満たすため、厚生年金はいつまで加入し、いつから年金を受け取ればよいか、その期日を確認しました。
シミュレーションの結果から、退職日は、再雇用契約期間の満了日となる62歳2か月、年金繰上申請は、62歳と5か月と決めました。
「211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵は、老後のライフプランで重要な選択肢になります。その恩恵に関しては、是非以下の関連記事も参考に読んで下さい。
体験談の関連記事リンク:👀定年退職後のマネープラン、年金の繰上受給と個人事業主を選択(体験談)
2.≪雇用保険の失業受給金の申請≫
雇用保険の基本手当(失業給付)の支給を受けるための申請を行いました。
今が特別なコロナ禍の現状の中、「高齢によりコロナ感染重症を避けるため」が退職理由の場合は、「正当な理由のある、自己都合退職」で、特定受給資格者となり、失業給付の所定給付日数が150日から240日に増えました。
再雇用契約満了による退職であったため、基本手当の給付の開始は1週間の待期期間のみで、3ヵ月の給付制限はありませんでした。
参考に以下の退職に関する体験談記事も読んで下さい。
関連記事リンク:👀コロナ禍の定年退職で損しないために(体験談)、100万円も得する可能性があります。
注意しないといけないのは、個人事業を開始することが決まっているひとは、雇用保険が適用されませんので注意してください。
3.≪失業給付金を停止申請≫
62歳で退職し、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給している間は、老齢厚生年金は支給されなくなるため、基本手当(失業給付)を62歳5か月で停止しました。停止することで62歳6か月分から老齢厚生年金を受給することができます。
年金の繰上受給の申請を行う62歳5か月に当たる月までは、基本手当(失業給付)を受けました。基本手当(失業給付)の残りの所定給付日数が3分の1以上あれば、再就職手当を受給できる資格が残っています。個人事業開始後に再就職手当の申請を行うことができます。
関連記事リンク:👀失業保険と年金の受給方法をハローワークと年金事務所に聞きました。(体験談)
4.≪年金の繰上受給の申請≫
国民年金事務所で 62歳と5か月で年金繰上申請を行い、62歳の6か月目から年金受給を開始する手続きを行いました。
5.≪個人事業の申請≫
非常に簡単です。
個人事業主として独立する場合には開業手続きが必要であり、おもな提出書類は次の通りです。
(1)開業届
税務署と各都道府県に対して開業届を提出します。
(2)青色申告承認申請書
節税対策の幅を広げるためにも、税務署に対して青色申告承認申請書を提出しましょう。提出期限は開業日から2ヵ月以内です。ただし、1月15日以前に開業する場合の提出期限は3月15日です。
年金の申請後は、個人事業で、企業と業務委託契約、業務請負契約で収入を得ても、在職老齢年金制度による、年金の一部・全部停止されることはありません。
6.≪雇用保険の再就職手当の申請≫
雇用保険の基本手当(失業給付)を停止しましたが、個人事業を開始することで、再就職手当を受給できます。支給額は、所定給付日数の残日数により、残日数分の基本手当金額の70%(残日数が2/3以上の場合)or60%(残日数が1/3以上の場合)が支給されます。
詳細は下記の関連記事を読んで下さい。
関連記事リンク:👀失業保険と年金の受給方法をハローワークと年金事務所に聞きました。(体験談)
7.≪翌年から確定申告をする≫
会社員の場合、年末調整により所得税など税額計算は勤務先が代行し、税務署に申告する手続きも必要ありませんでした。
しかし、個人事業主の場合、所得税の税額計算をし、確定申告書を税務署に提出しなければなりません。注意:個人事業を開業した翌年から確定申告は必ず必要です。忘れずに申告してください。
個人事業上で必要な経費は、いろいろ費用が売り上げから引くことができますので領収書をもらう癖をつけておいてください。
個人事業の確定申告方法に関する記事は、別途、詳細を紹介したいと思います。
関連記事リンク:👀≪定年退職後の個人事業≫年金と事業所得の経費を通算することで節税になります。
(最後まで読んでいただきありがとうございます。)
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