健康保険証の切り替えは、定年退職後、すぐに手続を完了させる必要があります。
やむを得ない理由もなく、届出が遅れ健康保険証がなければ、医療費用の100%を支払うなど、負担が増える場合があります。定年退職後に選択できる健康保険の種類と節税方法について紹介します。
1. 定年退職後の健康保険と介護保険とは
現役のサラリーマンのあいだは、負担する社会保険料に厚生年金保険、健康保険、介護保険(40~65歳)の保険料が含まれ、給与から差し引かれていたため、あまり気にしていない人がほとんどです。
まず知っておいてほしいことは、社会保険料の金額は年間数10万円(毎月数万円)になることもあり、給与や年金などの所得(収入)から徴収されていることです。
この社会保険料は、ほとんどの国民から一生涯徴収され、老後に年金収入のみになった場合でも徴収されるため、この徴収される金額は生活費の大きな負担になります。
定年などで退職し、サラリーマンでなくなると、厚生年金保険料は無くなりますが、健康保険の医療保険料と介護保険料は、基本的に年金から一生涯徴収されます。
- 40歳以上65歳未満:公的医療保険(健康保険組合or国民健康保険)の医療保険料は、介護保険料とあわせて、被扶養者分も含めて、被保険者から徴収されます。
- 65歳から75歳未満:公的医療保険(健康保険組合or国民健康保険)の医療保険料は、被扶養者分も含めて、被保険者から徴収されます。65歳から介護保険料は、個々人毎に別途徴収されます。
- 75歳以上:全員が後期高齢医療保険制度の被保険者になり、個々人で医療保険料と介護保険料が別々に徴収されます。
2. 定年後の健康保険の選び方
退職すると、今使っている健康保険証は、退職日の翌日から使えなくなります。保険証のない空白時間を、作らないためにも、速やかな切り替えが必要です。
健康保険の選択肢は、主に以下の三つあります。
• 国民健康保険に加入する(原則14日以内に加入手続きが必要です。)
• 従前の健康保険組合の任意継続健康保険に加入する(20日以内に申請すれば、原則2年間加入できます)
• 家族加入の健康保険に加入
退職後は国民健康保険に加入するのが原則ですが、2年間は任意継続健康保険(これまでの健康保険組合に継続して加入)も選択できます。
国民健康保険と任意継続健康保険のどちらが保険料が安いか比較してどちらかに決定しなければなりません。
もう一つの選択肢は家族の加入している健康保険に加入することもできる場合もあります。家族の健康保険に加入する条件がありますので事前に確認してください。
3. 健康保険料の確認方法
サラリーマンの間の社会保険料は、会社が約半分を負担(労使折半)で支払っていましたが、定年退職でサラリーマンでなくなると、厚生年金保険料は無くなりますが、 公的医療保険(健康保険組合or国民健康保険) の医療保険料と介護保険料は、全額が個人負担となります。その金額は、毎月数万円になり、大きな負担になります。できれば節税したいものです。
退職後の保険料は、できれば健康保険組合と市町村の国民健康保険窓口に連絡して確認しておくことをお勧めします。もし時間がなく判断ができなければ、従前の健康保険組合の任意継続健康保険に加入することをお勧めします。
参考に、公的医療保険(健康保険組合or国民健康保険)の保険料を試算できるwebサイトは以下です。
- 健康保険組合と国民健康保険の比較できるサイトです。
比較サイト:👀国民健康保険自動計算サイトも活用して比較してみてください。
【入力金額の注意点】
≪給与≫の欄は:支給額(各種控除前の金額)、
≪所得≫の欄は:年金は年金控除後の金額(年金控除額:65歳未満は60万円、65歳以上は110万円を差し引いた金額) - 住居地の市町村のホームページに試算できないか調べてください。
大阪市の場合は、下記の試算サイトのエクセルファイルを利用して試算することができます。
試算サイト👀大阪市国民健康保険料試算シート
4. 国民健康保険料、介護保険料の節税方法
定年退職後の健康保険料と介護保険料は、生涯支払う必要があり、最低徴収額でも原則4万円以上になり、所得額が増えれば所得額の10%以上が徴収され、サラリーマンだった世帯のほとんどが、数十万円になります。節税対策を行うことは重要になります。
👀【定年退職後のマネープラン】健康保険と介護保険の軽減制度と世帯分離を活用し節税対策を‼ で詳細に説明しています。併せて読んで下さい。
1)最も大きな節税方法は、住民税非課税世帯になることです。
富裕層でない一般的なサラリーマンは、年金の受け取り方を間違わないようにすれば、住民税非課税世帯の対象者になります。具体的にどうすれば良いのか、働きすぎて損しないためにも、下記の記事を併せて読んで実践してください。
👀 定年後の年金を損しないで受け取る方法 の記事を、60歳の定年を迎える前に是非併せて読んで、定年後のマネープランを立ててください。
👀(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の恩恵 は魅力がいっぱいです。自分は対象にならないか、併せて読んでチェックしてください。
2)定年後の離職理由で国民健康保険料の節税対策ができます。
65歳までに退職された方は、必ず雇用保険(失業保険)の(退職)離職理由をチェックしてください。(退職)離職理由により、国民健康保険料が大幅に軽減できる可能性があります。さらに雇用保険(失業保険)の受給期間が増え、大幅な節税につながります。
60歳の定年後も、再雇用等で働き続けている状況で、退職される場合の退職理由が、「会社都合による退職」、「両親の介護のため」、「コロナ禍の影響」など、「正当な理由による」、「どうしようもない理由」で退職された場合は、ハローワークで必ず相談してください。
筆者が60歳で定年を迎え、再雇用で継続して働き、62歳で退職したときに、およそ100万円 節約・節税ができ、非常に助かった体験談を、
👀コロナ禍の定年退職者必見>住民税と国民健康保険料が大幅節税に で紹介します。是非併せて読んで下さい。
3)家族の健康保険に加入する場合の節税対策
65歳までに子供等の家族の健康保険組合の被扶養者になる場合、保険料は不要になりますが、注意が必要なことがあります。
・加入先の家族の健康保険組合の条件を確認してください。(条件が厳しいため該当しない場合も多いです。早い目に確認ください。)
・介護保険料は、65歳から、市区町村が個別に設定した条件の段階別で保険料が徴収されます。もし夫婦2人が住民税非課税世帯に該当するのであれば、家族と同居している場合、「世帯分離」し、別世帯にしなければ、介護保険料が年間数万円高くなってしまいます。
・同居していても「世帯分離」は可能です。市役所に届けるだけのはずです。市役所の窓口に確認してみてください。
・「世帯分離」することで住民税非課税世帯に該当すれば、「介護サービスの自己負担額軽減」などの対象になります。介護サービスを利用する場合でも大きなメリットになります。
・さらに「世帯分離」で別世帯にしても、生計を一にしていれば、子供等の家族の扶養親族となり、子供ら家族の扶養者となり所得控除できます。子供等の家族が高額所得者であれば節税額も大きいです。
(最後まで読んでいただきありがとうございます。)
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