「ゆとりある老後生活」では、住民税非課税世帯の恩恵は魅力いっぱい✨
ファイナンシャルプランナー(FP)の私が、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵の内容と優遇措置を受けるための条件を徹底的に紹介します。
(注意)想定条件:都道府県、市町村によって、優遇措置に差があるので、大阪市に居住する65歳以上の夫婦の年金受給者世帯を想定モデルにして紹介しています。
初めに結論です。
65歳以上の夫婦二人世帯の場合、世帯主(夫)の年金受給額が211万円を境に、住民税非課税世帯になるか、ならないかの境界があり、受けられる恩恵、すなわち優遇措置に大きな差が生じます。
共働き夫婦で
「ダブル厚生年金」がもらってる世帯の方も関係します。
世帯主(夫)が亡くなった後の生活で
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の恩恵は本当に大きいです。
共働き夫婦の方は、初めに
👀【ダブル厚生年金】共働き夫婦の年金を理想的に受取りましょう。 の記事で詳細に説明しています。併せて読んでみてください。
ファイナンシャルプランナー(FP)の私は、年金の繰上制度を活用し、年金額を減額し(年金211万円の壁=住民税非課税世帯)の条件を満たしたライフプランを実行しています。
👀定年退職後のマネープラン、年金の繰上受給と個人事業主を選択(体験談) を併せて読んで下さい。
年金は生涯支給される不労働所得です、人生100年時代の、第二の人生のライフプランで最も重要な資金になります。
「ゆとりある老後生活を実現」させるためにも是非、下記の関連記事を読んで、老後のマネープランを作成してください。
参考関連記事のリンクサイト
:👀60歳から「シニアFIRE」を実現させるためのマネープランを紹介します。
:👀定年いろは塾【Ⅰ】公的年金を節税して受け取る方法
:👀「損しない年金」「楽しむ資産運用」定年退職からのマネープラン
:👀定年退職後のマネープラン、年金の繰上受給と個人事業主を選択(体験談)
:👀定年退職は第二の人生のスタート、素敵なライフプランの作成を
今回の記事の4.項
👀年金収入額が 211万円、212万円、230万円、240万円、の4条件でモデルケース比較した結果を紹介しています。
自分に近いモデルを参考に、老後のマネープランを考えてください。
211万円の壁で損をする可能性のある世帯はどれくらい、(年金額の分布より推測)
「年金211万円の壁」とは、主に65歳以上の夫婦二人の年金生活世帯が、住民税非課税世帯になるかどうかの境界のことを言います。
配偶者(妻)が住民税非課税の時に、世帯主(夫)の年金収入額が211万円以下であれば、住民税非課税世帯の条件をクリアーでき、節税や社会保障制度などの様々な優遇措置の恩恵を受けることができるようになります。
平均年収と年金受給額の関係は下表の通りです。学校卒業後定年まで働いた場合、ほとんどのサラリーマンはこれぐらいの年収になります。この人たちが今回の「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の対象になります。
厚生年金(国民年金分含む)の月々の平均受給額は、「男性の平均受給額が約16万6,000円/月、1,992,000円/年」です。
参考資料のリンク先:
👀平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 の資料から筆者が独自で整理してみると、厚生年金受給権者数(男子)の年金月額と受給権者数の分布は下図のようになりました。
上図の厚生年金受給権者数(男子)の分布図から211万円の壁の影響がある人数を推測してみました。
年金211万円は年金月額がおよそ17万5000円となり、上図の青色部分の当たります。ここが分布図のピークに当たりました。
厚生年金保険(第1号)老齢年金受給権者数 男子 1082万人 に対して 211万円の壁の境界の年金月額17~18万円の人は 91万人 で8.4%の人がいることになります。
上図から、年金月額18~20万円の人も、働き方及び年金の受給開始時期を見直しておくことで「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵の優遇措置を受けられる可能性があった世帯数になり、数百万世帯と推測できます。今後も年金を受給する一般的なサラリーマンの大多数の世帯が該当する可能性があります。
年金受給年齢を早くする「繰上制度」を活用することで年金受給額を減額することができます。
また、年金受給年齢を遅らせる「繰下制度」を活用することで年金受給額を増額させることができます。
① 211万円の壁に合わせるために繰上制度を活用し年金受給額を減らそうと考えている人、
② 又は年金額を増やすために繰下制度を活用する人は、
211万円の壁を超えて、損しないように注意してマネープランを立ててください。
厚生年金受給権者(男性)の内、年金月額がおよそ11万円から20万円(およそ年間133万円~240万円)に該当する、およそ60%が、年金の繰上、繰下制度などを活用し、年金受給額が211万円の境界までに増減させることができます。
大多数のサラリーマンの夫婦二人世帯などが、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵を受けられる対象世帯になります。損しない年金の受け取り方を行ってください。
私からの提案は、年金受給額が240万円以上の方は、これまでの収入が高い、高所得者になるため、無理に年金受給額を下げる必要はないと思いますので、今回の対象からは外します。
住民税非課税世帯の条件 (田舎生活者は注意)
住民税非課税世帯とは、同一世帯全員が、住民税非課税になる世帯のことです。
住民税非課税世帯になる条件は、世帯人数 と 住居地の(級地制度の級地区分)により条件が異なります。(居住地の市町村で確認してください。)
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」とは、主に夫婦二人の世帯で、
- 住居地が都会に近い1級地の場合で、
- 世帯主の年金が211万円以下で、
- 配偶者の年金が155万円以下の
世帯が対象の条件です。
級地制度の級地区分の確認は以下のリンクサイトで確認ください。
関連リンクサイト:👀級地制度 – ウィキペディア(Wikipedia)
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵の優遇措置内容
(優遇措置の内容)
① 住民税非課税の優遇措置
② 国民健康保険料の軽減
③ 介護保険料の軽減
④ 後期高齢医療制度の優遇措置(75歳以上の方の医療費)
⑤ 自己負担限度の優遇措置
⑥ その他 優遇措置
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵の優遇措置を受けられる年齢は、65歳以降です。(公的年金控除額が110万円で計算される年齢からです)。
繰上制度の活用や特別支給老齢厚生年金の受給などで、65歳未満から年金を受給している場合は、公的年金控除が減額されるため、ほとんどの世帯で合計所得金額が基準の101万円以下にならず基準をクリアーできません。(両親等と同居し扶養親族にしている場合は可能性があります。)
公的年金控除額の詳細は以下のリンクサイトで確認ください。
関連リンクサイト:👀No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁 (nta.go.jp)
① 住民税非課税の優遇措置
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たしている世帯は、住民税(均等割、所得割両方)がゼロになります。
住民税の均等割、所得割の両方が非課税の条件:年金収入額等が211万円以下
≪計算式:≫
合計所得金額(35万円×夫婦二人+31万円=)101万円以下+(公的年金等控除額)110万円
=年金収入額等が211万円以下
住民税の所得割が非課税(均等割りは徴収)の条件:年金収入額等が222万円以下
≪計算式:≫
合計所得金額(35万円×夫婦二人+42万円=)112万円以下+(公的年金等控除額)110万円
=年金収入額等222万円以下
年金収入額等が211万円を超えると222万円までは、所得割は非課税ですが、均等割が住民税で徴収されます。このため「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件は満たしていません。
均等割り額は、区市町村によって異なるのでお住いの区市町村のHPで確認ください。
(大阪市は、均等割5300円=大阪府民税1800円+大阪市民税3500円 です。)
住民税計算サイト:大阪市の以下の関連リンクサイトで令和4年度分と令和5年度分の税額の試算を行うことができます。源泉徴収票の金額を入力することで試算できます。
大阪市住民税計算サイト:👀令和6年度分と令和5年度分の税額の試算
② 国民健康保険料の軽減
国民健康保険料は自治体ごとに異なります。国民健康保険料は、世帯全員の所得の合計で、軽減の基準額が決定します。医療分・後期高齢者支援分・介護分保険料(65歳まで)の、平等割 均等割の2割、5割、7割軽減が適用されてます。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たしている世帯は、平等割 均等割の5割軽減が適用されます。
(健康保険料の計算での優遇措置)
大阪市令和5年度は、以下の式で基準額で計算されます。
5割軽減 43万円+29万円×被保険者数+10万円×(給与所得者等の数-1)
2割軽減 43万円+53.5万円×被保険者数+ 10万円×(給与所得者等の数-1)
注意:年金収入につき公的年金等控除額(年齢65歳以上である方に係るものに限る。)の控除を受けた方については、公的年金等に係る所得金額から15万円を控除して計算されます。
大阪市HP国民健康保険料軽減から抜粋
大阪市のHPの保険料の軽減・減免の関連リンクサイト:
👀大阪市:保険料の軽減・減免 (…>国民健康保険>保険料について) (osaka.lg.jp)
👀大阪市:保険料の決め方 (…>国民健康保険>保険料について) (osaka.lg.jp)
(リンク先の令和6年度年間保険料の試算シートのエクセルファイルで計算できます。)
③ 介護保険料の軽減
65歳以上になると、個人ごとに介護保険料が計算され原則年金から徴収されます。
65歳からの介護保険料は第1号被保険者となり、市区町村ごとに設定している介護保険料になります。保険料は、本人及び世帯の市町村税の課税状況や、合計所得金額等により設定されています。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たしている世帯の全員が、住民税非課税の場合は、保険料段階2,3,4段階に該当し、保険料基準額の35%~70%に軽減されます。下記のように結構な金額が軽減されます。
保険料基準額は、3年ごとに見直されます。大阪市平成30年~令和2年の基準額=95,124円
令和3年~令和5年の基準額=97,128円(改定)
2024年に改訂され
令和6年~令和8年の基準額=110,988円に設定されました。
関連リンクサイト:👀大阪市のR6-8年度の介護保険料ファイル (2024年6月改定)
④ 後期高齢者医療制度の優遇措置(75歳以上の方の医療費)
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たしている世帯は、均等割り額5割以上等の優遇が受けられます
大阪府後期高齢医療費の均等割額の軽減条件は下表の通りです。
参考関連リンクサイト:👀大阪府後期高齢者医療制度|保険料ホームページの表を抜粋
⑤ 自己負担限度の優遇措置
毎月の高額療養費、高額介護サービス費及び年間の高額医療・高額介護合算療養費が、下記の所得区分に応じて自己負担限度額の軽減が行われます。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たしている世帯は、低所得者に該当し、自己負担限度額が大幅軽減されます。
(高額医療費)
(高額介護費サービス費)
(高額医療・高額介護合算療養費)
⑥ その他 優遇措置
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たしている世帯は、以下の優遇措置を受けることもできます。
- 入院時食事療養費の優遇措置
- 無料予防接種
- 特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)
- 介護保険負担割合証 1割
- 介護保険負担限度額認定証
【介護保険負担限度額認定申請】
負担限度額認定を受けられるかどうかは、①所得と②預貯金等から判断されます。
【食費・居住費(滞在費)の減額申請】
世帯全員が市民税非課税の方や生活保護を受けている方は、介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設)に入所・入院した場合や、短期入所サービス(ショートステイ)を利用した場合の食費・居住費(滞在費)についての利用者負担が申請により軽減されます。
モデルケースの試算に使用した関連リンクサイト等
都道府県、市町村によって、優遇措置に差があるので、前提条件を、大阪市を居住地とする65歳以上の夫婦の年金受給者の人をモデルにして紹介します。
前提条件の年金受給額は、
本人が各モデルの211万円、212万円、230万円、240万円、配偶者は、80万円で計算しました。
計算で参考にした資料、または使用した資料は、下記の関連リンクサイトです。
モデルケース1:211万円と212万円の比較
下表は筆者が独自に試算したものです。必ず住居地の市町村窓口等で確認してください。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵
モデルケース2:211万円と230万円の比較
下表は筆者が独自に試算したものです。必ず住居地の市町村窓口等で確認してください。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵
年金受給額がおよそ230万円の人は、是非「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の条件を満たす、マネープランを立ててみてください。
モデルケース3:211万円と240万円の比較
下表は筆者が独自に試算したものです。必ず住居地の市町村窓口等で確認してください。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵
年金額を増やす方法。211万円を超えないように注意
上述しましたが、下表のように平均年収が300万円から700万円の大勢の人が、「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の壁の対象になります。
年金額を増やすには、再雇用等で厚生年金の加入期間を延ばす方法と年金受給年齢を繰下げる方法があります。
- 70歳まで雇用の機会が増えたことで、定年退職後も再雇用で働き、厚生年金加入期間を増やすことで、老齢年金額を増やすことができます。(厚生年金は70歳まで加入可能です)
- さらに、年金受給開始年齢を数年遅らせる、年金繰下制度を活用し、年金の受給額を増やす方法があります。
働き方、年金繰下げ制度を活用することで、年金211万円の境界を越えてしまう人も多くなると推測されます。
少し期間を間違えると、多くの人が211万円の境界を超えてしまう可能性があります。
🤣少しでも211万円の境界を越えてしまい、大損することになってしまう人が増える可能性があります。繰下げ制度を活用する場合は十分に注意してくださいね。!
年金額を減らす方法。211万円以下に減額させる方法
計算上で年金受給額を211万円以下にできる対象者は、65歳からの年金受給額が300万円(2022年4月2日からは277万円)以下の人です。
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の恩恵を活用する場合の注意点
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の恩恵を受けれるための条件は、将来改正される可能性はあります。年金の繰上、繰下受給される方は、制度の改正で恩恵がなくなるリスクがあることも理解しておいてください。
年金の繰上受給と繰下受給の選択は慎重に考えてください。むやみに、繰上、繰下受給すると損をしてしまいます。「年金211万円の壁=住民税非課税」の適用条件は変更されます。
最後に一言
(住民税非課税は終活の重要なポイントです。)
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の優遇措置で、上述した年金手取り額で大きな恩恵を受ける以外に、重要な恩恵があります。それは高齢になり、医療費や介護サービス費が高額になった時です。この時に 「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」 の優遇措置があれば、医療費、介護サービスの恩恵で選択肢が大幅へ増え、家族への負担を大幅に減らすことができます。具体的な恩恵については以下の関連記事を併せて読んで下さい。
👀定年いろは塾【Ⅴ】介護保険の活用方法(自分の老後生活と両親の介護のためにも知っておこう!)
👀【人生100年時代のラストのライフプラン】は介護まで想定し、家族の負担ないエンディングノートに
「ゆとりある老後生活」は、「シニアFIRE」開始で実現
「年金211万円の壁=住民税非課税世帯」の恩恵を得ることで、筆者が提唱する「シニアFIRE」を開始し、第二の人生を魅力ある老後生活で過ごしてください。
「ゆとりある老後生活」を実現するためのライフプランを立てるため、下記の「シニアFIRE]の記事を是非読んで下さい。(50歳からの必読本です。)
👀60歳から「シニアFIRE」を実現させるためのマネープランを紹介します。
👀”シニア向け分譲マンション”で「ゆとりある老後生活」を実現させましょう!
👀シニア「FIRE」=「経済的自立と早期退職」で、「ゆとりある老後生活」を実現しています。
(最後まで読んでいただきありがとうございます。)
コメント
いつも参考にさせていただいております。
現在住民税非課税世帯を目指して年金繰り上げ受給をし、シニアFIREを考えておりますが、年金繰り上げ受給をして211万の壁をクリアーにしても個人年金などの雑所得がある場合はそれも211万と合算して考えなければいけないのでしょうか?それとも年金支払いの金額から払い込み金額を引いた利益分を所得として考えなければいけないのでしょうか?
具体的には65歳から10年間、年間60万支払いがあるものです。払い込みは550万程度だったと思います。ご教授ください。
宜しくお願い致します。
返信いただきありがとうございます。参考にさせていただきます。